【漢方解説】アトピー性皮膚炎と漢方

本日の漢方的な考え方で解説する症状は

 

【アトピー性皮膚炎】

 

 

こんにちは、ご覧下さりありがとうございます。店主の安福です。

 

本日の漢方的な考え方で解説する症状は、

『アトピー性皮膚炎』です。

 

 

アトピー性皮膚炎は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返し、かゆみのある湿疹を主な症状とする疾患です。

 

漢方によるアトピー性皮膚炎の診断・治療には、2つの理論・考え方がよく用いられます。

 

1つは「一般的中医学理論」、もう1つは「扶陽学説理論」という考え方です。

 

先に、それぞれの理論におけるアトピー性皮膚炎の発症原因を説明致します。

 

 

【一般的中医学理論におけるアトピー性皮膚炎の原因】

 

アトピー性皮膚炎は、多くの場合、乳幼児期に発症します。

 

それを踏まえて、一般的中医学理論では、アトピー性皮膚炎の発症の前提として、先天的に「腎(じん)」という機能の弱さがあると考えます。

 

漢方理論での「腎」には、臓器としての「腎臓」の機能だけではなく、人体の生長・発育・生殖や、生命活動を維持する機能も有しているものになります。

 

この「腎」の機能が弱い状態を「腎虚(じんきょ)」と呼びます。

 

先天的な「腎虚」のため、人体をうまく働かせるのに必要なエネルギーを生み出すことができず、その結果、皮膚の健康を保つことができなくなり、アトピー性皮膚炎の発症の前提が生じると考えます。

 

そして、その先天的な「腎虚」という問題に加え、成長するにつれては後天的な問題が、アトピー性皮膚炎発症の大きな部分を占めていくことになります。

 

その後天的な問題として、「脾虚(ひきょ)」という状態があります。

 

漢方理論での「脾」とは、摂取した飲食物の消化吸収に関与する機能となります。

 

「脾」には、体内に取り込んだ飲食物からエネルギーや栄養物質を取り出し、全身に送り出す働きがあります。

またそれ以外の働きとして、水分の吸収・輸送にも関与しています。

 

そのため、この「脾」の機能が弱くなる「脾虚」は、エネルギーや栄養物質不足、または水分の吸収不足を招くことになります。

 

その結果、エネルギーや栄養物質不足は、滲出物の多いアトピー性皮膚炎になります。

また、水分の吸収不足は、乾燥性のアトピー性皮膚炎になると考えます。

 

その他にもアトピー性皮膚炎の発症の原因として、体内の問題ではなく、「風邪(ふうじゃ)」、「湿邪(しつじゃ)」、「熱邪(ねつじゃ)」といった、外から来る邪気が関与することもあります。

 

これらのいろいろな要素の原因が重なることによって、アトピー性皮膚炎が発症すると考えます。

 

 

【扶陽学説理論におけるアトピー性皮膚炎の原因】

 

もう一方の扶陽学説理論でも、アトピー性皮膚炎の原因に、先天的に不足しているものがあるという考え方は、先の理論と似ております。

 

その不足しているものが、こちらの理論では「陽気(ようき)」というものになります。

 

漢方理論で、この「陽気」とは、人体を活動的にしたり、温めたりする働きがあると考えます。

そして特に扶陽学説理論では、「陽気」の充実が、人体に最も重要なことであり、これが不足すると病気になるという考え方をしています。

 

そのため、こちらの理論でのアトピー性皮膚炎の原因は、この「陽気」が不足している「陽虚(ようきょ)」という状態にあると考えます。

「陽虚」により、人体に必要なエネルギーや栄養物質、水分を体内に留めることができず、それらが皮膚にまで発散してしまったものと考えます。

 

こちらの理論では、この「陽虚」を正すことにより、人体を正常な状態に保ち、その結果、アトピー性皮膚炎の治療になるという理論になります。

 

 

【漢方治療の実際】

 

2つの理論からアトピー性皮膚炎の発症原因について説明致しましたが、どちらかの理論が優れているというものではありません。

どちらの理論からも良い治療効果が得られる方もいらっしゃいますし、一方の理論からでしか十分な効果が現れない方もいらっしゃいます。

 

実際の治療では、まずどちらかの理論で治療を始めてみて、その後の症状の改善・悪化を観察し、そのままの理論で治療するか、もしくは異なる理論に変更するかを判断することが多いです。

 

また、漢方医学のみではなく、西洋・現代医学的な治療方法の併用も重要な選択肢です。

 

以上のことから、様々な視点より最も適した治療法をご提案することとなります。

 

安福直行
薬剤師
日本薬剤師研修センター認定漢方薬・生薬認定薬剤師
日本チェーンドラッグストア協会認定漢方アドバイザー
日本アンチ・ドーピング機構認定スポーツファーマシスト

 

 

 

【「一般的中医学理論」における処方選択の一例】

「患部がジクジクしている方」

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消風散

 

 

「患部がカサカサしている方」

IMG_1991

温清飲

 

 

 

【「扶陽学説理論」における処方選択の一例】

「幼小児期」

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補気升陽(黄耆建中湯)

 

 

「成人期(軽症)」

IMG_1994

麻黄附子細辛湯 合 桂枝加竜骨牡蠣湯

 

 

「成人期(重症)」

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麻黄附子細辛湯 合 扶陽理中(附子理中湯)

 

 

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文:店主 安福直行

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