本日の漢方的な考え方で解説する症状は、
【便秘】
こんにちは、ご覧下さりありがとうございます。
店主の安福です。
本日の漢方的な考え方で解説する症状は、
『便秘』です。
通常、健常者の排便回数は、多い場合で1日に3回、少ない場合で1週間に3回程度と言われております。
便秘とは、この正常範囲と言われるものと比べての排便回数の減少や、1回排便量の減少、または硬い便の排出が見られる状態のことを言います。
便秘は大きく分けると、「器質性便秘」と「機能性便秘」というものに分けられます。
「器質性便秘」とは、大腸がんや腸の癒着などによって、便の通り道自体が狭くなることによって引き起こされる便秘です。
この場合の便秘は、外科的処置等が必要になることも多いので、医療機関での治療が基本となります。
もう一方の「機能性便秘」とは、先の「器質性便秘」が否定され、また医薬品による副作用の便秘も否定された場合の便秘となります。
漢方での便秘治療がよく行われるのは、こちらの便秘のタイプです。
漢方理論での便秘の原因は、単に腸の調子が悪くなっただけではなく、身体全体のバランスがくずれてしまったために発症すると考えます。
そのため、「身体のバランスを整える」という漢方治療の基本的な考えがありますので、便秘に対応している処方はたくさん存在します。
特に便秘を引き起こしやすい、身体のバランスのくずし方には、いくつかのタイプがあります。
一つ目は、胃腸に熱があるため、便秘になっているタイプです。
これは胃腸に溜まっている熱によって、便の水分量が少なくなり、その結果、便が硬くなっていると考えます。
この場合の治療は、胃腸の熱を冷ます処方を選択することになります。
二つ目は、胃腸を動かすために必要な栄養やエネルギーが不足することによって、胃腸の動きが悪くなり、その結果引き起こされる便秘です。
この場合は、胃腸に栄養やエネルギーを供給し、その動きを高めるような処方を選択します。
三つ目は、ストレスや緊張などが原因により、身体を巡るエネルギーの流れが悪くなり、その結果便秘となるものです。
この場合は、ストレスや緊張をほぐし、便秘にも効果のある漢方処方を選択することになります。
もちろん、一つの要因だけで便秘が引き起こされているわけではなく、複合的な要因で引き起こされていることもよくあります。
そのため実際の治療では、漢方理論における便秘の原因を判断することに加えて、お客さまの体質や、便秘以外に現れている症状も考慮し、最も適した処方を選択することとなります。
安福直行
薬剤師
日本薬剤師研修センター認定漢方薬・生薬認定薬剤師
日本チェーンドラッグストア協会認定漢方アドバイザー
日本アンチ・ドーピング機構認定スポーツファーマシスト
【処方選択の一例】
「ガスがよく出る方」「冷たいものを欲しがる方」
調胃承気湯
「コロコロした便の方」「口唇や皮膚の乾燥がある方」
麻子仁丸
「便が細い方」「いらいらしたり、憂鬱感のある方」
大柴胡湯
TEL:0748-33-8602 FAX:0748-33-8603
営業時間:9時~20時 定休日なし
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文:店主 安福直行